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食物アレルギーを治療する経口免疫療法とは

食物アレルギーと診断された場合、以前は原因食物を完全除去するよう指導されてきました。
ところが最近は経口免疫療法という新しい治療法へと変わってきています。
経口免疫療法とは、アレルギーの原因食物をごく少量から摂取し始め、徐々に増やして最終的に食べられるようにする治療法です。
食物アレルギーの原因となる食物を食べるので専門の医師による指導のもと慎重に行われます。

経口免疫療法の進め方ですが、食物アレルギーが疑われる場合、まず食物負荷試験でどのくらいの量を摂取するとアレルギー反応が出るか調べます。
食物アレルギーの原因食物が判明したら、負荷試験の結果をもとに食べる目標量を設定します。
最初は微量から始めて、段階的に食べる量を増やしていき最終的に目標量を目指します。
これを増量期といいます。
目標量まで食べることができたらそのまま3ヶ月程度毎日食べ続けます。
この期間を維持期といいます。

維持期終了後、2週間は原因食物を完全に除去します。
これは、食べ続けることによって発症しない状態になっているだけなので、通常の状態に戻す必要があるからです。
その後再び負荷試験を行い、アレルギーの症状がでないか確かめます。
このときアレルギー症状が起きた場合、また維持期からやり直します。

この経口免疫療法は現時点では研究段階であり、どの医療機関でも受けられるわけではありません。
アレルゲンを食べるということはどの段階であっても重篤なアレルギー反応を起こす危険性があります。
さらに、この治療法は乳幼児期の小さな子供には向きません。
治療を進めていくためには症状が出た場合にきちんと伝えることが重要です。

小さい子供の場合はそれが難しいことが理由のひとつです。
ふたつめは、食物アレルギーは年齢と共に自然寛解する確率が高いので、耐性ができるまで待つことも選択肢のひとつと考えるからです。
経口免疫療法の開始時期としては4~6歳が向いているといわれています。
意思表示ができることと、アドレナリン自己注射薬(エピペン)が使えるからです。

経口免疫療法の危険性を考え、もしものときのための備えは必要です。
尚、アドレナリン自己注射薬は、体重が15㎏以上ないと使用できません。
経口免疫療法は、小麦と卵アレルギーの治療効果が高く、小麦では約8割の患者が成功したというデータもあります。

治療期間はアドレナリン注射を持ち歩こう

食物アレルギーと診断されると、原因食物を完全除去する子育てはとても大変です。
その原因食物が多数に及んでいるときはなお更です。
小学校に入学する時期になると給食の問題もありますので、できることなら食べられるようにしてあげたいと思う気持ちはよくわかります。

しかし、アレルギー症状を起す原因食物を摂取するということは、どんな時でも危険を伴います。
増量期を終え2週間の完全除去のあと、15日目にアレルギー症状が出て増量期からやり直す割合は半数近くともいいます。
牛乳アレルギーの寛解した割合は30%程度であり、原因物質によっても成功する率は大きく異なります。
経口緒免疫療法は、従来の「完全除去」から一変した画期的な治療法でありますが、食べて治すという言葉だけがひとり歩きしているとしたら問題です。

自己判断で原因食物を食べることは絶対にやめましょう。
経口免疫療法は常に重篤なアレルギー反応の危険性を伴っていることを忘れてはいけません。
経口免疫治療を受けようと思ったときは、専門知識を持った医師にまず経口負荷試験を実施し、この治療法が向いているか判断してもらいましょう。

治療を受けている間も、体調によってアレルギー症状がでることもありますので十分な注意が必要です。
治療期間中は、増量期・維持期に関わらずアレルギー症状が出ていないか慎重に見ていくことがもっとも重要ですが、もしもの時の備えとしてアドレナリン注射薬を持ち歩きましょう。
強いアレルギー症状で呼吸困難やショック状態になった場合、救急車の到着や病院への搬送まで待てない場合もあるのでアドレナリン注射薬は常に身近に置いておくことは経口免疫治療を行っていく上でとても大事なリスク管理といえます。